「AIを使ってみたい。でも、自分の仕事のどこに使えばいいのか分からない」。そんなときは、道具を探す前に、毎日または毎週くり返している仕事を一つ見つけるところから始めてみませんか。
何を楽にしたいのかが決まれば、試した後に「本当に仕事が変わったか」も確かめられます。
「仕事の名前」より、実際にしている作業を書く
「事務作業を効率化したい」だけでは、どこに手間がかかっているのか分かりません。「注文メールを読み、数量を表に入力し、紙の控えと照らし合わせる」のように、手を動かしている順番で書くと、見直せる箇所が見えてきます。
説明のための架空の例です。毎日の受注処理なら「注文メールから数量を表に入力する。入力後の確認に時間がかかる」。週ごとの打ち合わせなら「メモから決まったことを拾う。後で見返すと担当と期限が分からない」。仕事の名前だけでなく、困る場面まで一行にします。
まずは、この一週間にした仕事から、くり返している作業を書き出してみてください。正確な所要時間を測るのは、その後で構いません。
何度も起きる困りごとを、一つ選ぶ
書き出した仕事を見て、「くり返す回数が多いか」「時間がかかるか」「確認ややり直しが多いか」を比べます。全部を点数にする必要はありません。今週も来週も起きそうな困りごとを一つ選べば、最初の改善対象になります。
たとえば注文の入力が負担なら、まずは「同じ内容をどこに何回入力しているか」を確かめます。入力先を減らすだけで改善するかもしれません。打ち合わせのメモが負担なら、決定事項を抜き出す下書きにAIを試す余地があるかもしれません。どちらも、仕事の流れが見えてから選べる方法です。
経済産業省の中堅・中小企業等向けDX推進の手引きも、AIなどの技術を先に導入する発想ではなく、目指す姿と現状の課題を明らかにしてから活用方法を考えることを示しています。
文章にするのが難しければ、声から始められます。たとえばChatGPTの音声入力では、入力欄のマイクアイコンから話した内容を文字にできます。「毎週やっている仕事を整理したい」と話し、思いつく作業を続けて説明してみてください。文章を整えてから話す必要はありません。この段階なら、多少の聞き違いは気にせず、AIに前後の文脈を汲み取って仕事を整理してもらえば十分です。意図と違えば、あとから一言補えます。
今日は、くり返している作業を一つだけ、始まりから終わりまで書いてみてください。改善したい仕事が具体的になれば、AIを試すべきかどうかを考える出発点ができます。
次は、その仕事にAIを使うなら、どこを任せ、どこを人が確認するかを考えます。
